2017/11/10 アクセンチュアMeetup レポート(メモ)
◆イベントタイトル
エンジニア向け/デジタル・エコシステムをつくり出す技術勉強会
- 大手〜ベンチャーまで全24社が集結して生み出したアプリの技術についてお話します -
#アクセンチュアMeetup
◆日時|場所
2017/11/10(fri) 19:00-21:45 | TECH PLAY SHIBUYA
◆イベント詳細
#アクセンチュアMeetup (?)
--- 全体について ---
・入場後いきなり、懇親会を待たずにおにぎりとビールが
ふるまわれるという大盤振る舞い。
さすがアクセンチュア社、営業資金力が違う。
・基本的には1事例について、2名の方がそれぞれの視点で
紹介するという内容でした。
・残念ながら全スライドについて撮影禁止のお達しあり。
--- セッション① ---
デジタル・エコシステムを支えるシステムアーキテクチャとその将来展望
山根 圭輔 氏
アクセンチュア株式会社
テクノロジーコンサルティング本部 マネージングディレクター
※everyday bank ecosystemという
福岡銀行が行った取り組みについて紹介。
・作成システム概要
様々な業態の24社と手を結び、
顧客ニーズに全方位的にこたえる仕組みを作るという試み。
毎日なにかしら銀行と接点をもってもらいたいという意図で
作ったスマホ用アプリとのこと。
※24社...Microsoft、電通、NTT DATA、NHK出版、
キヤノンMJ、タニタなどなど。カナダのベンチャーなんて変わり種もいる
・銀行らしく預金や給与情報を出す機能もあるが、
全然関係ない福岡の観光情報を出したりとか、
幅広い内容を扱っているのが特徴。
出すのは、人それぞれにパーソナライズした情報。
「なるべく福岡銀行というのを前面に出さないでくれ」と言われたらしく、
その意気込みがうかがえる。
・作成期間は開発開始から最初のリリースまで10ヶ月。
<開発のポイント>
・アジャイル開発であるということ
サービスは細かく分割した単位でリリースしている。
「これ絶対受けるよね」なんて言っていたものが
意外と受けなかったりするので、
導入したり削除したりを個別に行え、スピード感のあるアジャイルは
アプリとの親和性が高かった。
・ACTSというフレームワークの導入
アクセンチュア社オリジナルのFWで、この種のB2Cアプリ開発をする際に
必ず必要な4つの機能を備えているFW。
1)顧客一人一人へのパーソナライズ機能
2)APIにより拡張できる構造。ACTSの内部構造自体もAPI化している
3)ビッグデータ分析機能
4)アジャイル開発に適した構造
・No Excelというコンセプトの導入(素敵!)
YAML(ヤムル)というシンプルなテキスト形式でAPIの定義を書くと、
各機能のAPIやそのスタブなどを自動生成できるツールを導入。
定義自体が仕様になるので、Excelで仕様書を書くのをやめましょう
という方針を導入した。
→会社によってはかなりの抵抗もあったものの、24社例外なく導入。
※ちなみに最も嫌がった大手SI某社は、最終的には
・外部サービスと実処理はREST連携
外部サービスはどんどん変わる。
それに柔軟に対応できる構造とするために疎結合化している。
・OSSの活用
Front側はAngularJSやTypeScriptで構築。
Server側はSpring Boot。
そのほか、ワークフローエンジンはDiadagだったり、
アナリティクスにはApache Sparkを使用していたり。
このように、すべてOSSで構築している。
<このシステムのイデオロギー>
・今はデータを集めるフェーズ
すべてOSSを使っているので、このシステム自体に新しい技術なんてない。
他のWeb系ベンチャーさんの実践しているものの方が最先端だろう。
エンタープライズが取り組むべきイノベーションとはなんだろうか。
それは、ベンチャーが実践するものとは異なると考えている。
今までにないデータの収集や、アナリティクスをしてそれを活用する、
そういったエンタープライズのニーズに対し、
AIなどの先端技術が、浮ついた形ではなく実用的になる時代は
いずれくるだろう。
そのために、今はデータを集めるべき。
モバイルアプリなどでのデータ収集はベンチャーでもできる。
エンタープライズに優位性がある手段は、既存の業務と関連させること。
関連させてデータを収集する。
これはベンチャーにはできない。
アクセンチュア社が提供しているFW「ACTS」と、
今回のようなシステム開発業務は、
そういったイノベーションの屋台骨を提供している。
新しいものを提供するのではなく、
安く、速く提供しているということ。
<セッション①感想>
・NoExcelというコンセプトはすばらしい。ぜひ世の中そうなってほしい。
設計と実装が分離している状況というのは極めてナンセンスであり、
実装そのものが設計書になるべきで、
そして近い将来全システムが絶対そうなるはず。
・メジャーOSSをふんだんに使った開発なので、
この開発に関わるとウリになるスキルが増えそうで羨ましい。
・アジャイルやRESTというキーワードは、
こういうSoE系の開発だと、もう絶対に入ってきますね。
--- セッション② ---
DevOps~ChatOpsを最大限有効活用した開発プラットフォーム
テクノロジーコンサルティング本部 シニアマネジャー
水上 廣敏 氏
※同じ事例について、ツール活用など実際の開発運営に着目してご説明
<工夫したこと>
・まずそもそも、要件定義や外部設計など、各フェーズの名称から合わせる。
そして、各フェーズで何をして、誰がどんな成果物を作成するのか。
この整理を最初に行った。
他にも、例えば進捗会と呼ばれるものはどの会社でもやっているだろうが、
このプロジェクトでは、そこで何をやるのか。
そういった認識をあわせることから始めた。
・ツール活用。
⇒プロジェクト管理でもNo Excel。
進捗、障害、TODOなどはそこで一元管理。
⇒コミュニケーションもツール。
会議は1社1人でも、24社いれば24名にもなる。極力やらない。
メールもあまり使わない。
活用したのはSlack。
人とのコミュニケーションはもちろんだが、
Botとのコミュニケーションにも活用した。
SlackからBotにコマンドを送るとデプロイするというような
仕組みを構築した。
さらに、Jenkinsで毎晩実行した結果をSlackに放流することで
皆が見られるようにした。
<セッション②感想>
・全社のルールからあわせ、同じ目的のもと協働するってのは、ドラマですね。
池井戸潤っぽい。熱い。
・やっぱりツール活用が鍵だなあと再認識。
(当社で既に導入しているツールの名前も出てきてましたが)
金融系はシステムそのものへのOSS導入のハードルは高いけど、
コミュニケーションツールはさらに最適化していきたいと思いました。
<全体感想>
勉強会は理論学習系もいいけど、具体的事例もいいですね。
泥臭いエピソードから導入の実態を知ることができたり、
自分のプロジェクトとの比較による気づきもあるし、大変勉強になりました。
運営・登壇者の皆さまありがとうございました。